ゲット・バック・セッションの音源と映像
ゲット・バック・セッションはビートルズが1969年1月に行ったセッションで、
その時の記録はアルバムと映画の 『レット・イット・ビー』 として世に出ました。
当時、バラバラになりかけていたバンドの状態を危惧したポールは、
久しぶりに4人が揃った仕事をするため、
1966年8月を最後に行っていなかった「観客を前にしてのライブ」を企画します。
その模様はテレビで放送することとし、特別番組の素材とするために
リハーサルも映像に記録することにしました。
そして1969年の年明け、4人はトゥイッケナムにある映画撮影用のスタジオに
集まり、リハーサルを開始しますが、ポール以外の3人はこの企画に
消極的で、セッションが進むにつれ、4人の間に不協和音が奏でられ始めます。
1月2日から始まったトゥイッケナムでのセッションは、1月10日にそれまでの不満を
爆発させたジョージがスタジオを出ていったため、1月14日で中断となります。
その後の話し合いでライブ・ショーの企画は破棄され、純粋にニュー・アルバムの
レコーディングとして、場所もアップル社屋の地下に移し、
1月21日からセッションが再開されました。
ここで救世主としてビリー・プレストンが参加し、サウンドに厚みをもたらしただけでなく、
4人の間の精神的緊張も和らげることになりました。
そしてセッションの仕上げと、撮影した素材を映像作品にするためのハイライトとして、
1月30日にアップルの屋上で無許可の屋外ライブが行われ、ライブの曲目に
入らなかった曲の録音を翌日に行ってこのセッションは終わりを迎えました。
このセッションはマルチ・トラック・テープに正式なテイクとして録音されたもの以外は
詳細な記録が残されなかったため、不明な点が多く、
マーク・ルーイソンの
『ビートルズ・レコーディング・セッション』 などの書物でも
簡単に記されているだけでしたが、
その後、映画のために記録された音源や映像のかなりの部分が
非公式に出回るようになり、現在ではその全容が見えるようになっています。
ここでは日を追ってセッションの概要を紹介します。
現在出回っている音源はCDにして100枚近い分量におよび、
その解説だけで1冊の本が出ているほどで、マニアの方には物足りないと思いますが、
あくまで入門編と捉えていただければと思います。
また関連情報として、映画とアルバムがどの日の演奏を収録しているかについて
分析してあります。
ゲット・バック・セッションの概要
トゥイッケナム・スタジオ(1月2日〜14日)
アップル・スタジオ(1月20日〜31日)
アップル屋上ライブ(1月30日)
その翌日の補足レコーディング(1月31日)
セッションのあとで
トゥイッケナム・スタジオ編(1月2日〜16日) |
1月2日(木) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール1〜10 |
トゥイッケナムの映画撮影用のスタジオに機材を持ち込んでセッション開始。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月3日(金) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール11〜28、Bロール50〜58 |
この日は「All Things Must Pass」「Maxwell's Silver
Hammer」を中心に演奏。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月4日(土)、5日(日) |
お休み |
1月6日(月) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール29〜49、Bロール61〜70 |
テレビ・ショーについての議論が続く。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月7日(火) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール50〜69、Bロール71〜79 |
テレビ・ショーについての議論が続くが、結論出ず。ポールが他のメンバーのやる気のなさ(特にジョン)に不満をあらわにする。解散の話題さえ出るが、ジョンは全く口を開かない。
【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月8日(水) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール70〜89、Bロール80〜89 |
観客と一緒に船に乗ってリハーサルをしながら外国へ行き、そこでライブをやったらどうかなど、突拍子もないアイデアが出たりするものの、意見がまとまらず何も決まらない。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月9日(木) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール90〜106、Bロール90〜102 |
ジョンとジョージの間に微妙な緊張が走る場面が多くなる。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月10日(金) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール106〜124、Bロール103〜112 |
昼食時にジョージがジョンor ポール(または両方)と対立、ビートルズ脱退を宣言してスタジオを出て行ってしまう。
【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月11日(土) |
お休み |
1月12日(日) |
リンゴの家に全員で集まりミーティング。ヨーコに好きなことをしゃべらせて自分は何も発言しないジョンにジョージが反発し、話し合いは決裂。 |
1月13日(月) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール125〜136、Bロール113〜121 |
ジョージは来ないが一応セッションは続ける。ジョンも遅刻して午後からやって来る。ジョンが来るまでの間、ポール、リンダとアップルのスタッフはジョンとヨーコの行動がバンドにもたらしている問題について初めて率直に話し合う。
【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月14日(火) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール137〜147、Bロール121〜125 |
ジョージは来ず。ジョンも遅刻。ジョンとヨーコ、カナダのテレビ局からインタビューを受ける。ポールは一人で様々な曲をピアノで弾く。俳優ピーター・セラーズがスタジオを訪れる。
【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月15日(水) |
再度全員でミーティング。ライブ・ショーの案はとりあえず中止とし、セッションの目的を「ニュー・アルバムの制作」に変更、撮影中のフィルムはその模様を収めたドキュメンタリー映画にすることにした。
また、場所をアップル社屋の地下に移すことにする。 |
1月16日(木) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール148 |
ポールが1人でスタジオに来て、ピアノだけで「Oh! Darling」を歌う。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月17日(金)〜19日(日) |
ビートルズはお休み。 |
アップル・スタジオ編(1月20日〜31日) |
1月20日(月) 映画用録音テープなし(演奏の撮影もなし) |
まだ録音環境か完全には整っていなかったものの、アップルの地下スタジオに4人が集まり、リハーサルで演奏。
【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月21日(火) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール400〜411、Bロール1000〜1008 |
セッション再開。ジョン、ローリング・ストーンズの 『ロックンロール・サーカス』 の短い追加撮影を行う。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月22日(水) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール412〜429、Bロール1009〜1019 |
この日の途中からビリー・プレストンが参加。雰囲気がぐっと良くなる。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月23日(木) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール430〜437、Bロール1020〜1037 |
主に「Get Back」のリハーサル。この曲に関してはかなり進展。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月24日(金) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール437〜453、Bロール1038〜1053 |
ビリー・プレストンを正式にビートルズのメンバーにしようと言うジョンと、それに反対するポールの間でちょっとした議論が起こる(ビリーがスタジオに来る前)。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月25日(土) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール453〜476、Bロール1054〜1072 |
セッションの進捗状況が今ひとつの上、リンゴの映画 『マジック・クリスチャン』 のクランクインが2月3日に迫っていたため、土日も仕事。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月26日(日) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール477〜499、Bロール1073〜1087 |
「Let It Be」「The Long And Winding
Road」が中心。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月27日(月) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール500〜523、Bロール1088〜1112 |
「Get Back」「I've Got A Feeling」が中心。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月28日(火) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール524〜547、Bロール1113〜1129 |
「I've Got A Feeling」「Dig A Pony」が中心。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月29日(水) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール548〜561、Bロール1130〜1145 |
ライブと本番のレコーディングを控え、このセッションで演奏した曲を総まとめ的に(非常に軽い感じで)一通り演奏。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月30日(木) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール562〜563、Bロール1146〜1149、Cロール4001、Dロール5001 |
アップル屋上でのライブ。他の録音はなし。 【判明している範囲のこの日の演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
1月31日(金) 映画用録音テープ・ナンバー:Aロール564〜566、Bロール1150〜1155 |
ライブ向きでない「Two Of Us」「The Long And Winding Road」「Let It Be」のレコーディング。 【この日の主な演奏曲】 【この日の演奏・映像を収録した公式作品】 |
セッションのあとで |
このセッションで記録された映像・音声はその後以下の形で編集・発表された シングル 『ゲット・バック /
ドント・レット・ミー・ダウン』 とプロモーション・フィルム |
映画 『レット・イット・ビー』 で見られる映像がどの日に撮影されたものかを記述します。
この映画は相当の編集が施されており、素材の並べ方も時系列になっていないため、
ドキュメンタリーだからといってそのまま素直に受け取らない方が良いと思います。
別の日の映像に別の日の音声を当てている部分もあります。
トゥイッケナム・スタジオ編(1月2日〜16日、約23分) | |||
1 |
タイトル・クレジット(冒頭のセッティングの様子) ・この映像は映像版 『アンソロジー』 パート8にも収録されているが、そちらとは別テイク(何度か撮り直したものと思われる)。 |
1月2日 | |
2 |
ポールのピアノ・イントロ ・この曲はポールのオリジナル曲で、アップルによって「Paul Piano
Intro」というタイトルで著作権登録されている。 |
1月3日 | |
3 | Don't Let Me Down | 1月6日 | |
4 |
ポール「単純な方で演ろう」 ・3と同じ日の映像で、「Don't Let Me
Down」のリハーサル中のものだが、3の演奏後に言ったものではない。 |
〃 | |
5 |
Maxwell's Silver Hammer(前半部) ・3日と7日の演奏をつなげて1曲にしたもので、ポールがコードを教えながら演奏している部分が3日の演奏。 |
1月3日 | |
6 |
Maxwell's Silver Hammer(後半部) ・3日と7日の演奏をつなげて1曲にしたもので、マル・エヴァンスが叩くハンマーが登場する部分から終りまでが7日の演奏。 |
1月7日 | |
7 |
ポールが「Ahhhhh」と叫ぶ ・6と同じ日の映像だが、6の演奏後のものではない。 |
〃 | |
8 |
マイクに感電するジョージ |
1月3日 | |
9 | Two Of Us(アップテンポ・バージョン) | 1月8日 | |
10 |
I've Got A Feeling(前半部) ・8日と9日の演奏をつなげて1曲にしたもので、歌詞のある部分が8日の演奏。 |
〃 | |
11 |
I've Got A Feeling(後半部) ・8日と9日の演奏をつなげて1曲にしたもので、エンディング部分が9日の演奏。 |
1月9日 | |
12 | I've Got A Feeling(ブレイク部の練習) | 〃 | |
13 |
I've Got A Feeling(ポール「グッド・モーニング!」) ・演奏を再開する部分から終りまで、8日の演奏(10と同じ演奏の別の部分)に戻る。 |
1月8日 | |
14 |
I've Got A Feeling(エンディング) ・エンディングはまた9日の演奏になる(11と同じ演奏の別カメラの映像)。 |
1月9日 | |
15 |
ジョン「The Queen says “No” to pot-smoking FBI members.」 ・「女王陛下は麻薬をやっているFBIのメンバーに 『No』 と言ってる。」 |
〃 | |
16 |
Oh! Darling ・ポールがピアノを弾きながらワンフレーズ歌うだけ。 |
1月6日 | |
17 |
ポールの会話(初期に作った曲について) ・ポールと監督のマイケル・リンゼイ・ホッグとの会話。 |
〃 | |
18 |
One After 909 ・9日の3つの演奏を組み合わせて1曲にしたもの。 |
1月9日 | |
19 |
ポール「デーン、デデデデデデデ…」 ・この日一番にスタジオに来ていたポールと監督のマイケル・リンゼイ・ホッグとの会話から。 |
1月14日 | |
20 |
ポールとリンゴのピアノ連弾 ・19のあと、ポールが次にやって来たリンゴとふざけて共演。 |
〃 | |
21 |
Two Of Us(ポールの「マイクに寄って」で止める) ・30秒ほどの断片。 |
1月9日 | |
22 |
ポールとジョージの口論 ・「Two Of Us」のまとめ方について意見の食い違う2人。言い合いの中でポールが「Hey
Jude」の時のこと(ジョージがポールの希望しないギター・フレーズを弾こうとした)に触れると、ジョージは「わかったよ、何でも言う通りに弾いてやるよ」と議論を投げてしまう。
|
1月6日 | |
23 |
Across The Universe ・ジョンが「『Nothing's gonna change my
mind』 をやろう」と言ってこの曲の演奏に入る。 |
1月7日 | |
24 |
Dig A Pony/ジョン「もっと速い曲をやろう」 ・セッション4日目。始終撮影されている環境でスムーズに進まないセッションを続ける中、メンバーに疲労の色が見えてくる(ポールの顔に注目)。 |
〃 | |
25 |
Suzy's Parlor ・ジョンの作った曲。この曲はアップルによって「Suzy Parker」(当時有名だったファッション・モデルの名前)というタイトルで著作権登録されているが、ジョン自身は「Suzy's Parlor」と呼んで(歌って)いる。 |
1月9日 | |
26 | ジョージがリンゴに「I Me Mine」を披露 | 1月8日 | |
27 |
I Me Mine ・ジョンとヨーコが踊る映像と演奏は同じ日の別の「I Me Mine」演奏時のものを合わせている。 |
〃 | |
アップル・スタジオ編(1月20日〜31日、約35分) | |||
28 |
For You Blue ・25日の3つの演奏をつないで1曲にしたもの。ただし、4人がアップルにやって来る映像は1月20日のものだと思われる。
|
1月20日 1月25日 | |
29 |
ジョン「“I Dig A Pigmy” by Charles Hawtrey and the Deaf Aids. Phase One, in which Doris gets her oats.」 ・「チャールズ・ホートリーとデフ・エイドによる 『I Dig A
Pigmy』 です。場面1で、ドリスは麦を手に入れる。」 |
1月21日 | |
30 |
ポールのマハリシの話 ・インド滞在中の思い出話をするポール。
|
1月25日 | |
31 |
Besame Mucho ・屋上ライブを翌日に控え、新曲はほぼ形になっていたからか、和やかな雰囲気の演奏。 |
1月29日 | |
32 |
Octopus's Garden ・リンゴの作曲に手を貸してやるジョージ。あとからやって来たジョンがドラムで参加する。
|
1月26日 | |
33 |
ヘザーの訪問 ・32の演奏中に義理の娘へザーを連れたポールが到着。ヘザーはこの日ずっといたので、この日の演奏を収録した部分(40まで)にちょこちょこ登場する。 |
〃 | |
34 | ジョンの即興「イザドラ・ダンカン…」 | 〃 | |
35 |
You've Really Got A Hold On Me ・大好きなスモーキー・ロビンソンの曲ということもあってか、ジョージが積極的にリード・ボーカルを取っている。 |
〃 | |
36 |
The Long And Winding Road(ボサノヴァ調) ・ポールがこの曲の演奏を促し、まともに演奏しようとするが、すぐに中断してしまう。 |
〃 | |
37 |
Shake, Rattle And Roll ・この演奏は短く編集されてアルバム 『アンソロジー3』 に収録された。 |
〃 | |
38 |
Kansas City〜Lawdy Miss Clawdy ・イメージの似た曲をだらだらと演奏していく中で自然発生的に出てきたメドレーで、演奏はかなりいいかげん。 |
〃 | |
39 |
Dig It ・この演奏は短く編集されてアルバム 『レット・イット・ビー』 に収録された。 |
〃 | |
40 |
ジョン「That was “Can You Dig It?” by Georgie Wood.」 ・「ジョージー・ウッドの 『Can You Dig It?』 で
した。」 |
1月24日 (音声) | |
41 |
会話(ジョンを説得するポール) ・熱っぽく語るポールとあんまり聞いてないようなジョンの姿が対照的だが、そういう箇所だけ取り出されているだけで、実際にはちゃんとジョンも会話している。 |
1月29日 | |
42 |
Two Of Us ・ここから3曲は屋上ライブの翌日に行われたレコーディングから。 |
1月31日 | |
43 |
Let It Be ・この演奏はシングルやアルバム 『レット・イット・ビー』 に収録されたものとは別テイク(録音は同じ日)の演奏を編集したもの。 |
〃 | |
44 |
The Long And Winding Road ・この演奏はアルバム 『レット・イット・ビー』 に収録されたものとは別の日の演奏(アルバム
『レット・イット・ビー』 のものは1月26日の演奏)。 |
〃 | |
アップル屋上ライブ / ルーフ・トップ・セッション(1月30日、約24分) | |||
45 | 準備 | 1月30日 | |
46 |
Get Back #1 ・まずウォーミング・アップとして演奏された「Get
Back」のあとに本番として再度演奏されたもの(回数としては2回目ということになる)。 |
〃 | |
47 |
Don't Let Me Down ・屋上ライブで2回演奏した内の1回目で、ジョンが2番の歌詞を間違える。 |
〃 | |
48 |
I've Got A Feeling (街頭インタビュー含む) ・屋上ライブで2回演奏した内の1回目で、この演奏はアルバム
『レット・イット・ビー』 に収録された。 |
〃 | |
49 |
One After 909 ・この演奏はアルバム
『レット・イット・ビー』、『レット・イット・ビー…ネイキッド』、50周年盤 『レット・イット・ビー』 ディスク4(アルバム 『ゲット・バック』)に収録された。 |
〃 | |
50 |
Dig A Pony ・頭と終りにレコードでは聴けない「All I Want Is
You」のフレーズが入っている。 |
〃 | |
51 |
Get Back #2 ・屋上ライブでの最後の演奏(回数としては3回目ということになる)。途中でジョンとジョージのギターのアンプの電源が切れるがすぐに復帰(警官の中止要請を受けたマル・エヴァンスがアンプの電源を切ったが、
すぐにジョージが入れ直したと言われている)し、この事態をからかったポールのアドリブの歌詞が歌われ、最後まで演奏された。 |
〃 | |
52 |
ポール「Thanks, Mo.」 ・ポール「ありがと、モー(リンゴの妻モーリーンの愛称)。」 |
〃 | |
53 |
エンド・クレジット ・BGMとして、28日の「Get Back」の演奏(ポールのアドリブ・ボーカル部分)が使用されている |
1月28日 (音声) |
フィル・スペクターがプロデュースして1970年に発売された、
ビートルズ最後のオリジナル・アルバム。
『ネイキッド』 や 『アンソロジー3』 収録のバージョンについても触れておきました。
アルバムA面 | ||
1-1 |
ジョン「“I Dig A Pigmy” by Charles Hawtrey and the Deaf Aids. Phase one, in which Doris gets her oats.」 ・「チャールズ・ホートリーとデフ・エイドによる 『I Dig A
Pigmy』 です。場面1で、ドリスは麦を手に入れる。」 |
1月21日 |
1-2 |
Two Of Us ・このテイクは映画 『レット・イット・ビー』 の後半で見られるものと同じだが、一旦ブレイクしてから始まるエンディング部分のみ映画では同じ日の別のテイクの演奏につなげている。 |
1月31日 |
2 |
Dig A Pony ・アップル屋上ライブの演奏から、頭と終りの「All I Want Is
You」のフレーズをカットしたもので、映画 『レット・イット・ビー』 ではカットされる前の状態で聴ける。 |
1月30日 |
3 |
Across The Universe ・1968年2月4日に録音されたテイクにコーラスやストリングスなどをダビングしたもので、ゲット・バック・セッションの演奏ではない。 |
1968年 2月4日 |
4 |
I Me Mine ・1970年1月3日に録音されたもので、ゲット・バック・セッションの演奏ではない。 |
1970年 1月3日 |
5-1 |
Dig It ・映画 『レット・イット・ビー』 に収録されたものと同じ演奏だが、その一部を抜粋して収録している。 |
1月26日 |
5-2 |
ジョン「That was “Can You Dig It?” by Georgie Wood, and now we'd like to do “Hark, The Angels Come”.」 ・「ジョージー・ウッドの 『Can You Dig It?』 でした。次は 『Hark, The
Angels
Come』 をやりたいと思います。」 |
1月24日 |
6 |
Let It Be ・この演奏は映画 『レット・イット・ビー』 に収録されたものと同じ日に録られた別テイクの演奏。リード・ギターは1970年1月4日に録音されたもの。 |
1月31日 |
7 |
Maggie Mae ・50周年盤 『レット・イット・ビー』 ディスク4(アルバム
『ゲット・バック』)にも同じテイクを収録。 |
1月24日 |
アルバムB面 | ||
8 |
I've Got A Feeling ・アップル屋上ライブで2回演奏した内の1回目の演奏で、映画
『レット・イット・ビー』 の屋上ライブのものと同じ。 |
1月30日 |
9 |
One After 909 ・アップル屋上ライブの演奏で、映画 『レット・イット・ビー』 の屋上ライブのものと同じ。 |
1月30日 |
10 |
The Long And Winding Road ・この演奏は映画 『レット・イット・ビー』 に収録されたものとは別の日の演奏(映画 『レット・イット・ビー』 のものは1月31日の演奏)で、フィル・スペクターによるオーケストラを取り去ったオリジナル・バージョンがアルバム
『アンソロジー3』 に収録されている。 |
1月26日 |
11-1 |
ジョン「Queen says “No” to pot-smoking FBI members.」 ・「女王陛下は麻薬をやっているFBIのメンバーに 『No』 と言ってる。」 |
1月8日 |
11-2 |
For You Blue ・この演奏は映画
『レット・イット・ビー』 に収録されたものと同じ日の演奏だが別テイク。 |
1月25日 |
12-1 |
Get Back の演奏前の会話 ・冒頭の会話は次に出てくる「Get
Back」のスタジオ・テイクの前に本当に交わされたものだが、アップル屋上ライブの時の試し弾きの音なども加え、ライブっぽい雰囲気を演出してある。
|
1月27日 + 1月30日 |
12-2 |
Get Back ・この演奏はアップル屋上ライブの演奏ではなく、1月27日にスタジオで録られたもの。 |
1月27日 |
12-3 |
ポール「Thanks, Mo.」 ・ポール「ありがと、モー(リンゴの妻モーリーンの愛称)。」 |
1月30日 |
シングルで発表 (アルバム 『レット・イット・ビー』 に収録されていないためここに付記しておく) | ||
|
Don't Let Me Down ・ジョージ・マーティンのプロデュースでシングル 『Get
Back』 のB面に収録された公式バージョン(アルバム 『パスト・マスターズ』 に収録)はアップル・スタジオでの1月28日の録音。 |
1月28日 |
『レット・イット・ビー…ネイキッド』
付録ディスク
『フライ・オン・ザ・ウォール』 分析
ゲット・バック・セッションで録音された音声を22分に編集したもの。
トラック・ナンバーとCDタイムは便宜上筆者がふったもので、
実際の商品では全部で1トラックになっています。
日本盤の解説書には全ての会話の翻訳が掲載されています。
1 | CDタイム 0:00〜 |
会話:ジョン、ジョージ、リンゴ ・ジョンとジョージがあとから来たリンゴと新年の挨拶を交わす。 |
1月2日 |
2 | 0:13〜 |
Sun King / Don't Let Me Down ・2日のセッションの開始時にジョンがギターを弾きながら歌ったもの。 |
1月2日 |
3 | 1:06〜 |
会話:ジョージとポール ・今回のテレビ番組の企画について、自分の考えをジョージに説明するポール。 |
1月3日 |
4 | 1:31〜 |
One After 909 / 会話:ポールとジョン ・演奏後のポールの発言「It's great. One After 909.」まで。 |
1月3日 |
5 | 2:04〜 |
会話:ジョン、ポール、ジョージ ・ポール「I never sort of knew what it was about
before.」からジョン「Couldn't do all the things, you
know.」まで。 |
1月3日 |
6 | 2:40〜 |
Bacause I Know You Love Me So ・実際には4のあとにはこの演奏(古いレノン/マッカートニーの未発表曲)が続いている。5の会話は編集で挟み込んだもの。 |
1月3日 |
7 | 4:15〜 |
会話:ジョージ、ポール、リンゴ / Don't Pass Me By / 会話:ジョージ、ポール、リンゴ / Taking A Trip To Carolina ・編集されてはいるが、数分の間に交わされた会話の流れの通りに収録されている。 |
1月3日 |
8 | 5:54〜 |
John's Piano Piece ・8日のセッションの開始前にジョンがピアノで弾いた曲を編集したもの。 |
1月8日 |
9 | 6:15〜 |
会話:ポール ・海外でのライブの話を持ち出したマイケル・リンゼイ・ホッグ監督に、ポールが「リンゴがイヤだと言っているから海外には行かない」と言ったもの。 |
1月2日 |
10 | 6:30〜 |
Child Of Nature ・のちにジョンのソロ 『Imagine』 に収録される「Jealous Guy」の原曲。 |
1月2日 |
11 | 6:55〜 |
Back In The U.S.S.R. / 会話:ジョージ、ポール、ジョン(ポール「Don't know.」まで) / 会話:ジョージ(「Be nice to…」から)とジョン / Every Little Thing ・編集されてはいるが、数分の間に交わされた会話の流れの通りに収録されている。 |
1月3日 |
12 | 7:32〜 |
Don't Let Me Down / その後の会話 ・セッションの初日、この曲のリハーサルを始めたころの演奏。 |
1月2日 |
13 | 8:01〜 |
Don't Let Me Down ・演奏を再開した部分からは6日の演奏になる。 |
1月6日 |
14 | 8:34〜 |
会話:ポール、ジョン、ジョージ ・ポール「Yeah,(ジョンの発言をはさんで) we should, we
should…」からジョージ「There's nobody better to get it out with than
us.」まで。 |
1月3日 |
15 | 9:18〜 |
All Things Must Pass ・3日に演奏された3つの部分をつなげている。 |
1月3日 |
16 | 9:42〜 |
会話:ジョージ ・「(フェイド・イン)The idea of doing it,…」から始まるジョージの発言。 |
1月3日 |
17 | 10:04〜 |
会話:ポールと即興の曲で答えるジョン ・ポール「Now John would like to
say…」から。 |
1月6日 |
18 | 10:29〜 |
会話:リンゴ、ジョージ、ポール / ジョージの鼻歌(She Came In Through The Bathroom Window) / ベースの音 / 会話:ジョージ ・リンゴ「(フェイド・イン)He just comes round and
tells you about a football
team.」からジョージの鼻歌をはさんでベースの即興がフェイド・アウトするまで |
1月7日 |
19 | 11:32〜 |
会話:ジョン、ジョージ、ポール ・ジョン「It was what can we do if we can't think of any sort
of gimmick.」からポール「…and you know I think we either go home or we do
it.」まで。 |
1月7日 |
20 | 13:00〜 |
Paul's Piano Piece ・3日のセッション前にポールが弾いたピアノ曲(映画 『レット・イット・ビー』 の冒頭でも聴ける)を編集したもの。 |
1月3日 |
21 | 14:02〜 |
会話:4人 ・ポール「Then there's that thing you know」からジョージ「It's very
expensive.」まで。 |
1月8日 |
22 | 15:52〜 |
会話:ジョン ・「Good
afternoon」から始まるジョンの一言。 |
1月9日 |
23 | 15:59〜 |
Get Back(イントロ) / 会話:ジョン ・この日の「Get Back」の演奏を編集したもので、3つの部分をつなげている。 |
1月10日 |
24 | 16:28〜 |
会話:ポール、ジョン、リンゴ ・ポール「And still the boom wasn't over there」からジョン「Shall we
go and play in our group then?」まで。 |
1月14日 |
25 | 17:04〜 |
Two Of Us / Maggie Mae / Fancy My Chances With You ・「Maggie Mae」が短く編集されてはいるが、数分の間に行われた演奏の流れの通りに収録されている。 |
1月24日 |
26 | 18:23〜 |
会話:ポール ・「It's almost in a
way…」から始まるポールの発言。 |
1月7日 |
27 | 18:40〜 |
Can You Dig It? / 会話:ジョン ・演奏後のジョンの発言「That was “Can You Dig It” by…」までそのまま収録。 |
1月24日 |
28 | 19:28〜 |
会話:リンゴ ・スタジオにやって来たリンゴの挨拶。「Morning, morning,
everybody.…」。 |
1月22日 |
29 | 19:36〜 |
Get Back ・ジョンのスティール・ギターとポールの鼻歌 |
1月24日 |
30 | 20:10〜 |
会話:ジョン、ポール、ジョージ ・ジョン「I mean you see what happens on there,…」から「And it's
just that
really.」まで。 |
1月25日 |
31 | 21:28〜 |
会話:ポール ・13日のセッション終了後、ふざけてスタッフに謝辞を述べ、ジョンを追って出て行くポールの発言を編集したもの。
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1月13日 |
●『ザ・ビートルズ:Get Back』 2012年公開の映画 『ザ・ビートルズ:Get Back』 とアルバム 『Let It Be』 50周年盤に合わせて発売された公式本。 イーサン・ラッセルとリンダ・マッカートニーが撮影した写真と、映画用に撮影されたフィルムからスキャンされた写真に加え、現場で交わされた会話を書き起こしたものをセッションのすべての日ごとに掲載したもの。 といっても掲載されているのは写真と会話だけで、録音/撮影データ的なものは一切なく、会話もかなりの分量が掲載されているがあくまで抜粋であり、セッションのデータ本としては非常に物足りない出来になっている。 映画本編もそれぞれの日をダイジェストしたような内容だったので(映像は音声に比べて断片的にしか撮影されていないので仕方ないが)、セッションについて詳しく知るにはやはり以下に挙げる研究書を合わせて読む必要がある。 【目次】 まえがき ピーター・ジャクソン 序文 必要なものは ハニフ・クレイシ 登場人物 第1幕 トゥイッケナム・フィルム・スタジオ 1969年1月2日 木曜日/3日 金曜日/6日 月曜日/7日 火曜日/8日 水曜日/9日 木曜日/10日 金曜日/13日 月曜日/14日 火曜日/16日 木曜日 第2幕 アップル・スタジオ 1969年1月21日 火曜日/22日 水曜日/23日 木曜日/24日 金曜日/25日 土曜日/26日 日曜日/27日 月曜日/28日 火曜日/29日 水曜日 第3幕 屋上 1969年1月30日 木曜日/31日 金曜日 あとがき そのあとで起こったこと ジョン・ハリス |
●『Drugs, Divorce, And A Slipping
Image』(洋書) Doug Sulpy / Ray Schweighhardt 著 ●雑誌 『nowhere』(プロデュース・センター出版局)の連載 「ゲット・バック・セッションの全貌」 入手できる限りのゲット・バック・セッションの音源を時系列に並べ、全曲およびセッション中に交わされた会話の内容を解説した研究本。世界中のゲット・バック中毒者から基本資料として利用されている。 1994年に出版されたものが初版で、その後 『GET BACK:THE BEATLES' LET IT BE DISASTER』 と改題して増補改訂版が出たが、2007年末になってタイトルを戻した最新版が出た。 (日本のアマゾンには最新版はない。著者のサイト http://www.dougsulpy.com/ でPDF版が買えたが現在は行っていない模様) 初版の方の内容は、日本ではビートルズ・クラブの出版していた季刊誌 『nowhere(ノーウェア)』 のVol.8からVol.21まで13回にわたって連載され(Vol.19は休載)、日本語で読むことができる。 この連載の期間にも新しい事実が発見されたため、データとして古くなっているところはあるが、 その辺はこの連載のために日本側で付けた注釈の中で多少カバーされている。 とは言っても英語力の乏しい者には非常にありがたい連載で、特に会話の部分(おおまかに内容を紹介し、そこから伺える人間関係を著者が考察している)などは大変面白く読んだ。 最新版の日本語版の書籍化を期待したい。 【セッション日と掲載号一覧】
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